いじゃない

いじゃない

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をやらかしてしま


地下牢に降りるまでもなく、地下から煙が吹き上がってきた。
   「火事だぁ、火事だ、火事だ!」
牢番の一人が、命からがら煙の中から出てきて、ばったりと倒れたが、煙を吸っている様子はなかった。
   「もう一人の牢番はどうした」朱鷺姫が倒れた牢番に駆け寄った。
   「地下に倒れています、助けてやってください」
 朱鷺姫は手拭いを近くに有った防火用水に詩琳浸すと、自分の口を塞ぎ、姿勢を低くして地下に降りていった。煙はモクモクと上がっているが、火は見えない。どこが燃えているのか火元を探したがみつからない。
 牢の前に、もう一人の牢番が倒れている。気を失っているのだと思った朱鷺姫は、牢番起こそうと抱えたが、頭から血を流して事切れていた。脳天を鈍器で殴られたようであった。牢の中の男たちはと見ると、毒を盛られたらしく、尽く口から血を流して死んでいた。
 ある男が息子をおんぶして、川に架かる丸木橋に差し掛かった。背中の子供が恐がって暴れたために子供を川の中に落としてしまった。男は為(な)す術もなく、ただ嘆き悲しんでいると、川の水面に龍神様が現れて男に尋ねた。
   「何を悲しんでおる、どうしたのか話してみよ」
 男は子供を川に落としたことを話した。
   「しばらく待っておれ」 
 言い残すと、龍神様は川の中へ潜っていった。
   「川に落ちた子供は、この金の子供か?」
   「いえいえ、そうではありません」
 再び龍神は川の中へ。
   「川に落ちたそなたの<借貸利率子供は、この銀の子供か?」
   「いえいえ、めっそうも御座いません、私の子供は、ただの汚い小僧でございます」 
   「そうか、もう一度探してくる、待っておれ」
 ブクブクブクと川の中へ。 
   「では、この汚い小僧か?」
 龍神の手には男の息子が抱かれていた。
   「あ、はい、その子でございます」
 泣きじゃくる息子を受け取り、男は涙を流してお礼を言った。
   「そうか、お前は正直者であるな、褒美に、この川落ちた総ての者をお前にやろう、ただし、既に幽霊になっておるがのう」
 龍神様は、男の背中にEXILE の Choo Choo TRAINが踊れるくらいの背後霊を背負わせてくれた。 

 (その二)黄金の玉
 社内ゴルフ大会で、最終コースまでトップできた男が、グリーンの手前で池ポチャった。池の端で、ガックリ肩を落としていると、池の水面にスックと女神様がお立ちになられた。
   「どうしたのじゃ、何を嘆いておる」
 韓流時代ドラマの和訳セリフのように女神様が仰せられた。
   「はい、ゴルフボールを池に落としてしまいました」
   「なんじゃ、そんなことか、待っておれ」
 女神は池の中に沈んでいかれた、暫くして再び水面にお立ちになると、
   「そなたの落としたボールとは、この金の玉か、それとも、こちらの銀の玉か?」
   「はい、はい、その金の玉でございます」
   「そうか、すぐに返してやりたいが、疑うようだが、他にも落とし主が現れるやも知れぬ」
 女神は、明日まで待って他に落とし主が現れなかったら、そなたの部屋へ届けようと言った。
   「それまで、待てるか?」
   「はい、お待ちいたします」

前にやれる金





   「わが亡骸は、葬儀も供養も許されないであろう。せめて、川原で荼毘(だび)に付し、灰は川に流して欲しい」
 お前が藩校に通うのも、今日が最後になろう。普段通りに一日を過ごして来なさい。帰ってくれば、父は棺桶の中で、そなたを出迎えよう。父の生涯は、決して無駄なも薑黃のではなかった。なぜなら、祥太郎という素直で清い心の倅をもうけ、このように立派な大人に育て上げることが出来たのだから…。
   「もう一度お前だけに言わせてくれ、父は潔白である」

 父は、白装束の上に羽織袴を着重ね、大小の刀を腰に差すと、普段と変わりない笑顔を見せて屋敷を出て行った。
   「あなた、行っていらっしゃいませ」
 母は、何も聞いていないのであろう。無感情に夫を送り出すと、さっさと奥へ下がってしまった。
 祥太郎は、ぐっと涙を堪えて父を見送り、「父上、さらばです」と、頭を下げた。

 藩校では、何事もなく一日を終えたが、帰り際に祥太郎が属す高等部の師範に呼び止められた。
   「祥太郎、何が起きても、気を落してはならぬぞ」
 普通なら、祥太郎は「何事で御座います」と、聞き返したであろうが、黙って頭を下げて帰途についた。

 門の外に、二人の中間(ちゅうげん)が祥太郎を待Dream beauty pro 脫毛ち受けていた。父の亡骸を運んで来たのであろう。二人は上役から受けてきた口上を、祥太郎に向かって一頻り無感情に告げた。
   「そうか、やはりそうだったか」
 祥太郎は、中間たちに一言の労いの言葉も、お礼の言葉も意識的に告げなかった。二人と別れて屋敷の門を潜ると、狭い庭に大きな棺桶が置かれて、その前で老いた下男が膝を着き、合掌していた。その老いの目から流れ落ちる涙が夕日を受けて、血のように見えた。
   「坊ちゃま、お父さまが、お父上が…」
 その言葉の先を涙が消し去っていた。
   「知っております、今朝、父上とお別れを致しました」
   「おいたわしい旦那様、こんなにもお優しくて清い心の旦那様が、藩の金を横領したなど有り得ないことでございます」
   「平助、ありがとう、父上は潔白です」

 今夜、父上の亡骸を川原にお運びして荼毘に付す、平助、申し訳ないが手伝ってはくれぬかと頼むと、平助は不満顔であった。
   「坊っちゃん、それはいけません、今夜は通夜をなさいませ」と、忠告された。
   「それが出来ないのだ、明朝、私は追放されて、旅に出なければなりません」
   「そうでしたか、お可哀想な坊ちゃま」
 この屋敷の使用人は、平助たった一人である。なんとかこの平助に有り金を全て渡してやりたいと願って屋敷の中を捜し回ったが、たった一文とても見当たらなかった。母の持ち物は全部持ち帰ったらしく、残っているものは、父と祥太郎の物ばかりである。その中で金目のものと言えば、父の脇差し大小二本だけである。その内の脇差は、父が切腹に使ったのだろう、柄にべっとりと血糊が付着していた。
   「平助、屋敷の金は母が持ち帰ったようで、一文も残求職中介っていない、お目のものと言えば、この大刀と、父の羽織袴と印籠だけだ」
   「箪笥などの家具は、使えるものがあれば、どれでも持って行ってくれ」
祥太郎は申し訳無さそうに平助に頭を下げた。
   「坊っちゃん、どうぞお気遣いなさらないようにお願いします」
   「今から、私が納屋の薪を荷車に積んで川原に運びます、平助は父上の傍に居てあげてください」

ま飛び出し


 空き地に戻ると、三太は子供に水を一口飲ませた。ぐったりしていたが、おにぎりを「喰うか?」と、見せると、貪り付いた。
   「三太の算段では、二人で二個ずつの積りであったが、あっと言reenex 好唔好う間に四個平らげてしまった。
   「わい、三太や、お前は?」
   「新平です」
   「家まで送ってやろう、家はどこです」
   「草津です」
   「なんや、また後戻りかいな」
 また新三郎に江戸まで五十三日かかりそうだと言われそうである。いや、この調子ではもっとかかるかも知れない。
   「家へ帰っても、追い出されるだけです」
   「本当のおっ母ちゃんやないのか?」
   「本当のお母です」
   「それが何で追い出されるのです?」
   「お母は、おいらが邪魔なのです」
   「邪魔、 何で?」」
 聞けば、母は新平が乳離れするまでは母の親元で育てたが、その後は新平を郷に残したまてしまった。昨年、郷の祖母が死んだ。村の人に「新平の母を草津で見た」と聞いたので、知り合いの人に探して貰ったところ、旅籠で飯盛り女(遊女)をしていた。
 母は、仕方なく新平を引き取ったが、旅籠に住み込むことが出来ずに、ボロ家を借りて母子二人の生活が始まった。
 母は客の男を家に引き込んで商売をするのだが、その度に新平は外に放り出された。半時も外に居たので「もういいだろう」と、家に戻ってみると、男が未だ居て、母親にこっ酷く叱られる羽目になる。
 いつしか新平は、母に「死ね」とまで言われるようになった。
   「お前なんか、山へでも行って、山犬の餌になれ!」
 それから、新平は山を見ると、自然に涙が出るようになった。
   「おいら、度胸がないから、自分で死ねません」
 思い切って、池に飛び込んだが、気が付くと岸ま動感單車で泳ぎ着いていた。橋の上から川に飛び込もうとしたが、下を見下ろすと足が竦み、首を括ろうにも、小さくて木の枝に縄をかけられない。
 そこで、思い付いたのが、大名行列だった。
てぃーだイチオシ
< 2015年12>
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