いじゃない

いじゃない

って言塩を塗


「あの……?良くわからないんですけど……。縁が切れるって、どういうことですか?朔良姫って、織田朔良のことですか?」

「そうだよ~。初心な子はこれ以上何も知らない方が良いよ~。首突っ込むなよ?」

「そうそう。突っ込むのはあれだけでいい。」

「これはお堅い野球部とは関係ない、陸上部の極秘機密事項だからね。」

「ま、朔良姫も怪我でハイジャンはできないらしいし、陸上部も俺等が卒業したら廃部だろうけどね。」

「俺等は大学に入って、普通の男の子に戻ります~。」

顔を見合わせた三年生は、くすくす笑ってそれ以上何も語らなかった。
傷心の里流も、今は誰とも関わりたくはない。静かに部室に鍵を掛けると、それ以上何も言わずに教室へ移動した。
しかし、その話を沢口に何気なく振って、里流は自分の知らなかった事実に驚愕する。

沢口は里流の話を聞き、振った本人が何も知らないのに驚いたようだった。

「へっ?里流……お前何も知らなかったの?朔良姫の事は、校内じゃ有名な話だぞ。」

「織田朔良が陸上部ってことくらいは知ってるよ。いつも一人でグラウンドの片隅で柔軟とかしてたじゃないか。でも、だからって何が有名なの?」

沢口は困ったなという風に、視線を外してがしがしと頭を掻いた。

「ん~……里流にこういう話をするのは、どうかと思うんだけど……ほら、里流って思いっきりガキっぽいって言うか。恋愛経験ないだろ?」

「奥手って意味……?それって、おれが何も知らない子供だいたいわけ?沢口が知らないだけだ。おれだってそれなりに経験位あるよ。」

口をとがらせた里流に、沢口は意外だと言う風に不思議そうな顔を向けた。

「経験ねぇ……織田先輩にキスしてもらったことくらいあるか?あ……ごめん。」

口走った後で、しまったと思ったがもう遅い。里流の傷口にってしまった沢口は、言葉に詰まってしまった。里流の顔にはさっと朱が走り、たちまち強張った。

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